おばばと暮らせば

瀬戸内海海域の中山間部に住む、90歳のおばばと孫の暮らし。おばばの言葉や思い出が面白すぎたので記録取っていくことにしました。

2019-01-01から1年間の記事一覧

日常55 祖母と敬老会

祖母の住むエリアは、いわゆる「田舎」。 電柱もなければコンビニなんてないし、バスだって1日3本だ。 満月が出れば、それだけでどこまでも行けそうだけど、 新月になれば、一寸先は闇を本気で感じさせてくれる。 昨今話題になっている「高齢化」というのが…

日常54 祖母と仲秋の名月

「月月に月見る月は多けれど月みる月はこの月の月」 読み人知らずのこの和歌を、祖母は得意げに暗唱した。 誰がいつ詠んだもので、どんな本に書いてあるものなのかさえ忘れたが、祖母にとっては気に入っているものらしく。 「月が何個あったかわかるか?」 …

日常53 祖母と嫁

高齢者の話で、病院嫌いというのはよく聞く。 我が祖母も例外ではなかった。 祖母が最初に体調不良になったのは1週間前の金曜日。 夜中に吐いちゃったそう。 それからはそんなしんどそうでもなかったので、水を促す程度に済ましていたけれど。 水曜日、日中…

日常52 孫の独り言

ブログをお休みしていた言い訳回です。 実は、7月、祖母からブログをしないでほしい的なことを言われていました。 孫、衝撃。 今、考えると、単純に「ブログ」というものがなんなのかわからなかったみたいで。 さらに手術前だったから、すごく不安だったとい…

日常51  祖母と方言教室 その2

「孫、ちょっと見んさい、ほれ、背ぇがね、ノッたんよ」 朝起きて早々、挨拶もせず開口一番の祖母。 3日間ぐらい続けてこの報告が続いたので、相当嬉しかったんだろう。 九十度、もしくはそれ以上に曲がった腰を伸ばして向き合う。 手は太ももに当てて、必死…

日常50 祖母と夕飯

畑にたくさん自然発生している宝物。 幼い頃、父があまりにも美味しそうに食べていたので、 ほんのすこし食べたくなって手を伸ばすと、 「バカになるど、やめとけ」 目が座っている父、あ、これは本気で怒ってる… 東京で仕事をしていた時期が長いので、父は…

日常49 祖母と台風

お盆前から「台風くるぞ」と警戒しまくった。 水を買って、予想される台風上陸日までに全部の予定を終わらせて。 いざ、家に待機。 祖母と暮らし始めて、「高齢者優先避難」という言葉を初めて聞いた。 多分また発令されるんじゃなかろうかと警戒してのこと…

日常48  祖母とひ孫たち

8月9日、6人目のひ孫無事誕生!!! おっきな男の子。 孫にとってはいとこの子ども。 住んでる場所は違うので、なかなか会うのは難しいけれど、lineで連絡を受け取り祖母に報告。 ひ孫と孫(いとこ)の無事を聞いて安堵と喜びばかりかと思いきや。 「そん…

日常47 祖母 VS  イノシシ

朝からふきげんそうな祖母。 それは、前の日の夜からで。 なんと祖母が頑張って育てたジャガイモが、ほとんどすべて盗まれた。 しかも犯人は子持ち。 とはいえ同情の余地はない。 里山は、ほぼ山だ。 なので住民も人間だけとは限らない。 「イノシシに全部掘…

日常46 祖父と原爆

祖母のダーリンこと(最近、本当に祖父のことをこういう…どういうテンションなんだろうか)孫の祖父は、大往生だった。 88歳で亡くなったとき、祖父の歯は一本もなくなっていた。 でも、真っ白な髪はフサフサ、本当にフサフサ。 ボケるまでヘビースモーカー…

日常45 おカラスさんのこと vol.6

今日も孫趣味。 孫、石仏をみる。 孫が入らせていただいた「山里研究会」 平均年齢いかほどか… 杖や補聴器をつけた、人生の大先輩たちとともに、向かった先は「羅漢山」 この山は、広島県と山口県の県境にある山です。 山口県側は、県立自然公園となっており…

日常44   おカラスさんのこと vol.5

今日も孫趣味。 祖母は昔のことに全く興味がないのですが、孫は昔のことに興味があります。 どんな場所にも孫のような変人はいてくれるはず。 そんなわけで探してみました。 この、超過疎化エリアの研究会。 探してみた、と言ったのですが。 ちょっと語弊が…

日常43  おカラスさんのこと vol.4

今日はおばばのお話はお休みです。 このタイトルの日は、孫の趣味を思う存分語る回とさせていただいております。 お久しぶりに、趣味コーナーです。 今日は、7月に満喫したお祭りをご紹介。 祖母と孫が住む場所は、車を飛ばせば瀬戸内海まで約1時間の場所。…

日常42  祖母と無言で語る手のひら

受け取り方次第、と、時々祖母はいう。 悲しいこと、辛いことをそのまま受け入れるというより、それらのいい面を……云々 なんてちょっと高尚じみたお説教。 たしかに、元気のいいときの祖母はびっくりするほど柔軟な考え方を持っている。 「しょぼくれんの。…

日常41 祖母と掃除

そんなに距離はないけれど、雑巾ダッシュができるので、個人的にお気に入りの廊下です 祖母は、綺麗好き。 そして、掃除機好き。 掃除機じゃないと掃除ができたという感覚にならないみたい。 普段の掃除は孫がしている。 でも孫は箒が好きなので、祖母がいな…

日常40 祖母の退院と、その後

撮影:妹 お久しぶりです。 ブログ、ご無沙汰しておりまして、いろんな方から心配してくださる言葉から生存確認までご連絡くださりありがとうございました。 祖母も孫も元気です。 祖母は無事に退院しました。 入院生活、祖母はとても順調だったようで、本を…

日常39 孫とちょっと怖い話

手術前、外科なんだから問題ない、茶でも飲んでこい。 なんて余裕なことを言っていた祖母。 手術後、枕が違うから眠れない。 なんて繊細なことを言い始めた祖母。 夜行バスでも爆睡な孫はびっくりしつつも、家中にある祖母の「枕」を持っていった。 昼寝用、…

日常38 祖母と紫蘇

祖母入院前日、祖母が荷物準備をしている間。 孫は畑で紫蘇をひたすら刈っていた。 「せっかく残しといたんじゃけぇ、はよどうにかせい」 畑に勝手に生えてくる赤紫蘇たち。 ジュースにしたいなぁと思わずつぶやいたのは、もう数ヶ月も前の話。 それからニョ…

日常37 祖母の手

最後の入院準備に爪を切る祖母。 祖母の中指は、和裁のときに針で傷つけたのが原因で、 先っぽを切る大手術をして、亡くなっている。 だけど、当時のお医者さんが「若いケェ」と爪をくっつけてくれたそう。 その爪は祖母にしか切れない。 その手を、今日手術…

日常36 祖母と孫 その3

ここ数年、ずっと右手が痛いと言っていた。 どうも神経系のものだという。 1度手術していて、もう一回しないといけないとずっと言われていたらしい。 でも、ずっと断ってきていた。 独りで暮らしていたから、手術するのが不安だったみたい。 今年は私がいる…

日常35 祖母と孫 その2

ご飯別居宣言。 つまり、ご飯を別々に食べましょうということ。 孫が料理下手というのは、これはもう土下座では済まされないと思う。 一応、孫の名誉のために、祖母も「不味くはない」と言ってくれる。 問題は「固さ」なのだ。 孫が思う柔らかいものと、祖母…

日常34 祖母と孫

実は、6月末に大げんかした。それも複数…… ちょうど3ヶ月が終わろうとしているころ。 ラブラブなカップルだって、一度はなるやつ。 いわゆる、倦怠期ってやつだわ、と孫はふてくされた車の中で思った。 ことの発端は、正直よくわからない。 ただ、祖母の口…

日常33   祖母と祖父の靴たち

「(孫の出勤シフトが)遅出のときは掃除すな」 と言っていた、祖母が、突然。 「明日は遅出か?なら、玄関の掃除、しようで」 というわけで、朝から玄関掃除。 時々スイッチの入る祖母。 張り切り出した祖母を、孫が止めるはずがない。 祖父が亡くなったと…

日常32 祖母と精米機

人にはそれぞれ得意分野とか、専門分野とか、そういう何かしら特化して深く身につけたものというのがあると思う。 何が言いたいかというと、これはただの言い訳で。 今日、初めて1人で精米に行った。 そして精米機の前で子どもみたいに騒いだ。 使い方がわか…

日常31 祖母と薬

祖母は毎朝、血圧の薬を飲んでいる。 高齢者によくある、高血圧用のお薬。 孫は、ビタミン剤とかを飲む。 それもものすごく大きいから、本当に一苦労。 肌荒れとか体調整えるのにねーと言いながら私がビタミン剤を飲んでいる時に出た、祖母の思い出話。 祖母…

日常30 祖母と祖父のフライパン

祖母が持っている鍋は、古いものから新しいものまで結構色々ある。 中でも、フライパンがすごい。 何がすごいって、柄が長い。 本体の部分はめっちゃちっちゃい。 だからかなんだか使いやすくて孫のお気に入りのひとつ。 鉄でできてて、素人目にも年季が入っ…

日常29 祖母と孫のミス(昨日の「日常28 祖母と梅雨」内の訂正)

ブログ執筆、初めの頃こそ妹にチェックしてもらっていたけれど、 最近はそのままその日にあったことの一部をポンとあげてしまっている。 孫はものすごく雑という自覚があるので、いつか何かしらのミスをしそうだなあとぼんやり思っていた。 昨日の栗の花、痛…

日常28 祖母と梅雨

6月に入って、梅雨が来るか来ないかというあたりで、祖母が言った。 「栗の木の花が茶色になったら梅雨が来るんじゃがのぅ」 ふさふわの黄色いフサのようなものをたくさん垂れ下げている栗。 あの独特な香りが孫はキライだった。 でも、祖母の一言で少しだ…

日常27 祖母と本

読了した本たち。毎回祖母の好みに合うわけでもなく、日々模索中。 図書館の本は無料で借りられるということを知らなかった祖母。 意外とこの世代、知らない人多いのかもしれない。 4月、一緒に住み始めてすぐくらいに、図書館から大量に本を持って帰るたび…

日常26 おカラスさんのこと vol.3

おカラスさんのことシリーズ第3弾。 でも、今日はおばばも登場します。 ※こちらの内容は、普段の祖母ではなく、孫の趣味である伝承調査について考えていたり感じていたり、時にはめんどくさいような気持ちをツラツラ綴っているシリーズです。ほんの少しでも…