日常47 祖母 VS イノシシ
朝からふきげんそうな祖母。
それは、前の日の夜からで。
なんと祖母が頑張って育てたジャガイモが、ほとんどすべて盗まれた。
しかも犯人は子持ち。
とはいえ同情の余地はない。
里山は、ほぼ山だ。
なので住民も人間だけとは限らない。
「イノシシに全部掘り返された!!!!」
孫の顔を見た祖母、開口一番に嘆き悲しみを発散。
なんでも、ここ数日イノシシの親子が近所をうろちょろしている噂があったそう。
そろそろうちにもくるかもしれない、ということで祖母は次の日に全部掘って保存しようとしていた。
それが、なんと一日の差でイノシシの勝利となったようで。
嘆き悲しむ祖母。
さつまいもだけは死守せんと、悲しみを怒りに変えて、出してきたのは爆竹。
孫に手渡し投げろという。
海辺育ちの孫、実は爆竹初めてだった。
どこに火をつけるのかさえ怪しい扱いに、祖母、必死に説明。
一発目、孫がビビりすぎて全然トンチンカンな方へ飛ばしてしまう。
さらに間近で聞いた破裂音に驚き跳びのく孫……
「ほれ!まだある!!あと2発はやりゃにゃあいけん!!!」
息巻く祖母と人生初の爆竹に圧倒されつつ、孫必死。
なんとか、爆竹をうまいこと畑を放り込む。
音にビビる孫をよそに、隣で祖母は笑っている……
「今のでええでよ。イッヒッヒ」
おばば、今のは確実に悪者の笑い方だよ……
よっぽど怒り心頭だったことが、今になってようやく身にしみた孫だった。