おばばと暮らせば

瀬戸内海海域の中山間部に住む、90歳のおばばと孫の暮らし。おばばの言葉や思い出が面白すぎたので記録取っていくことにしました。

日常33   祖母と祖父の靴たち

 

 

「(孫の出勤シフトが)遅出のときは掃除すな」

 

と言っていた、祖母が、突然。

 

「明日は遅出か?なら、玄関の掃除、しようで」

 

というわけで、朝から玄関掃除。

時々スイッチの入る祖母。

張り切り出した祖母を、孫が止めるはずがない。

 

 

 

祖父が亡くなったとき、遺品整理をしたのは孫と妹(この人も孫だけど)。

 

 

 

そのとき、なぜか誰も下駄箱は思い出せなかった。

そのため、祖父の靴がわんさか出てきた。

地元の電力会社に勤めていた祖父は、毎日ちゃんとスーツで出勤していたそう。

だからあるのは革靴ばっかり。

その中に、一足ものすごく大きなブーツが出てきた。

 

「おじいちゃんがバイクに乗ってたときのじゃ」

 

バイク乗りだった祖父。

そういえば時々自転車に乗せてもらっていた。

ハンドルとサドルの間に座布団を巻いて座って乗った。

ものすごく股の間が痛かった。

 

流石にバイクに乗せてもらった記憶は、私にはないけれど。

いとこたちはもしかしたら乗っているかもしれない。

昔の、田舎の話。

ヘルメットだって、ここらじゃつけてなかった。

映画みたいな昔の話だけど、よく考えたら30年も前じゃない話。

 

時々出てくる道具たちは、まだその記憶を持ったままただじっと眠っている。

起こさないようにそっと再び仕舞い込むこともある。

お焚き上げするみたいに、処分することもある。

 

ときは巡って、今。

その下駄箱には祖母の靴と、私が譲ってもらった大伯母の草履が並んでいる。

多分これも、いつかはお焚き上げされる。

この間お焚き上げした靴たちは、今頃祖父の元に届いているはず。

向こうでやっと、あのブーツでバイクに乗ることができているのかもしれない。

 

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祖父のブーツは汚くて…これは祖母曰く、同い年のいとこが履いていた靴?かもしれないとのこと。