おばばと暮らせば

瀬戸内海海域の中山間部に住む、90歳のおばばと孫の暮らし。おばばの言葉や思い出が面白すぎたので記録取っていくことにしました。

日常53 祖母と嫁


高齢者の話で、病院嫌いというのはよく聞く。

我が祖母も例外ではなかった。

 

祖母が最初に体調不良になったのは1週間前の金曜日。

夜中に吐いちゃったそう。

 

それからはそんなしんどそうでもなかったので、水を促す程度に済ましていたけれど。

 

水曜日、日中に下すし、夜は再び吐いていた。

流石に祖母も参っちゃってるみたいで、孫も流石にこれはやばいなあと焦り始める。

 

 

焦っている時、一番孫が心がけていることは、「病院行こう」の一言。

なぜか、孫が言うことで、頑なに行かなくなる。

孫が提案するのは水を飲もうと言うことだけ。

とにかくやべえと脳内で焦るが、態度に出さないことだけに必死。

 

 

そんな時、孫が出す切り札が「嫁」である。

 

 

祖母の長男の嫁、つまり我が母である。

 

 

 

 

母は医療に携わっているわけではないが、なぜか母のそういう忠告に祖母は絶対聞く。

しぶしぶという体であっても、頷く。

「お義母さん、明日デイサービス行きたいなら今日は病院に行ってください」

吐いて下している現状をラインで伝えると、すぐに電話がかかってきた。

「どこも痛くないのに」

と、子どもみたいなよくわからない駄々をこねる祖母。

笑うのをこらえているのを隠すために、孫は必死に忙しいふりをした。

 

 

 

 

病院行って、念の為に血液検査までして、吐き気止めの点滴をして。

結果は全然、めちゃくちゃ健康。

夏バテだろうか、とのこと。

 

 

 

食べられない祖母に、母は蒸しパンとか、甘酒とか、ゼリーを用意して家にやってくる。

すごく、「母」だなあと思った。

 

 

「もう年だから、多少の良し悪しはある」

祖母は病院に行かなくていい理由として、そう言葉にする。

 

でも、なんというか。

長生きしてほしいから、病院に連れて行くのではないなと孫は思う。

治したいから病院に行くという、当たり前の感覚ともなんだか違う。

それを言葉にして祖母には言わないけれど。

 

出来るだけ、祖母の意思で生きていける時間をギリギリまで保っていてほしい。

高齢者の食べない・動かないは本当に怖い。

すぐに動けなくなってしまう。

 

 

子どものような駄々こねを聞きながら、まあいざとなったら「嫁」を出せばいい。

 

孫の中で「嫁」は切り札であり、介護の先輩。

祖母にとっては、その口うるささは少し懐かしくて安心する「誰か」なのかもしれない。

 

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