日常30 祖母と祖父のフライパン
祖母が持っている鍋は、古いものから新しいものまで結構色々ある。
中でも、フライパンがすごい。
何がすごいって、柄が長い。
本体の部分はめっちゃちっちゃい。
だからかなんだか使いやすくて孫のお気に入りのひとつ。
鉄でできてて、素人目にも年季が入っているなあと思っていた。
それもそのはず。
なんと祖父が独身時代に初任給で買ったフライパンなんだとか。
…本当か?
だって独身時代でしょ?初任給でしょ?
どう考えても戦前。
第二次世界大戦末期の日本では、鉄を徴収されていたんだったか?という小学生知識を呼び起こす。
それなのに残っていたのか…
というか、あの時代で独身時代一人暮らしってどんな状況だったのか。
突っ込みたいし、聞きたいし、それでも祖母も知らないこと。
だから、本当でも嘘でも、これは我が家にとって「祖父のフライパン」
ざっと計算しても80年は前になる。
鉄ってすごい。
まさか、孫が使うことになるなんて、祖父も思っていなかっただろう。
フライパン自身だってびっくりなはず。
これが本当に祖父のフライパンなら、あと20年もすれば1世紀になる。
大事に使って100年経った道具は付喪神になるという。
この子もいつか、このまま使えばそういうものになるのかな?と、想像している。