日常31 祖母と薬
祖母は毎朝、血圧の薬を飲んでいる。
高齢者によくある、高血圧用のお薬。
孫は、ビタミン剤とかを飲む。
それもものすごく大きいから、本当に一苦労。
肌荒れとか体調整えるのにねーと言いながら私がビタミン剤を飲んでいる時に出た、祖母の思い出話。
祖母は、子どもの頃痩せていて貧弱だったらしい。
そんな祖母を見かねた曽祖母が出してきたのは、ヤギの乳だったそう。
祖母は青臭い香りが苦手なのだけれど、どうもヤギの乳がまさにそういう香りだったようで。
あまりにも嫌いすぎて、飲んだふりして縁にあった穴から捨てていたんだとか。
穴の下はちょうどくぼみができていて、乳が溜まっていて少したったら地面に染み込んで見えなくなった。
それをいい方法だと思った祖母は、大胆というかお間抜けというか…
ある時、いつものように乳を捨てた後、その場所を曽祖母が掃除にきて事が発覚。
めっちゃ怒られたそう。
そんな祖母もすくすく育ち、88歳になった今、二、三日に一度は必ず牛乳を飲んでいる。
骨のためなんだそうだけれど、悲しいことに牛乳と相性が良くないから、沸騰して煮立たせたものでないとお腹を壊すのだと。
毒も薬も紙一重だなあと思いながら、孫はインドでヤギの乳のチーズにあったったことがあり、それを思い出しては心の中でしばし同情している。
今でも乳に悩みつつ、支えてもらっている祖母のお話でした。