おばばと暮らせば

瀬戸内海海域の中山間部に住む、90歳のおばばと孫の暮らし。おばばの言葉や思い出が面白すぎたので記録取っていくことにしました。

日常55 祖母と敬老会

 

 

祖母の住むエリアは、いわゆる「田舎」。

電柱もなければコンビニなんてないし、バスだって1日3本だ。

 

満月が出れば、それだけでどこまでも行けそうだけど、

新月になれば、一寸先は闇を本気で感じさせてくれる。

 

 

 

昨今話題になっている「高齢化」というのが、ものすごく見えて聞こえてくる。

祖母、今日は「敬老会」に参加していきた。

 

 

 

今、祖母はあんまり長時間座ることができない。

腰が曲がって、もともと華奢だったのも手伝って、骨が出張って座るととても痛いそうなのだ。

だから家にはドーナツ座布団が大量に用意されている。

背中にお尻にそれぞれを当てて座っている。

それでも、1時間も座ってなんていられない。

テレビはいつも寝ながら見ている。

 

 

だから、外出がとても少なくなった。

敬老会も、数年前から行くのをやめていた。

途中でしんどくて帰りたくなって迷惑かけるくらいなら、初めから行かない。

基本、祖母は他人の時間を自分のために使ってもらうことを極端に嫌がる。

ただ、ここまで行くと謙虚も「甘え下手」なだけな気もしてくる…

 

 

でも、孫が密かに、尊敬している祖母の性格の一つでもある。

 

 

今年も行かないというようなことを伝える祖母の横で、孫は行く、と言った。

嘘も方便。

いく予定なんてないけれど、地域の行事には興味があるので、行く必要があることを必死に伝えた。

他人からしたら、孫がいく必要なんて、一個もないけど。

祖母が行ってくれるなら、孫には行く必要が出てくる。

 

 

前日に、理髪店で髪を整える。

化粧は、姪っ子さんにいただいた紅をつける。

洋服は、モノクロのドットのブラウス。

 

「まだ、おしゃれ(を)しよ思うんよ」

 

と、少しはにかんで言うから、そういうとき、孫は全力で褒めちぎる。

まあ、本当に可愛いからね、うちのおばば様は。

クソババアと思うこともあるけれど。

ちょっと照れ隠し気味に自虐なことをいうときは、本当は褒めてもらいたかったことなんだろうなと気づいたのは、本当に最近のこと。

 

 

化粧道具はいらないとかいうけれど、今度紅でも買って帰ろうか。

ちょっと控えめな、赤いやつ。

けばけばしてない上品な色の赤なら、祖母もつけられるかしら。

 

 

地域の中でも、だいぶ年上になってしまったようで、

出会い頭の挨拶は「寂しゅうなったね」だ。

パートナーが亡くなって、1人になった方が多いよう。

昔の友人たちも、祖母より先に亡くなっている人はたくさんいて。

でも、その声音は孫が遠い友人と久しぶりに会った時の「久しぶりー!」とあんまり変わらない。

 

 

 

 

 

 

祖母を会場に連れて行き、終わるまで孫は目の前のカフェで時間つぶし。

「楽しかったよ」

と、そういう言葉も祖母からもちろん出ていたけれど。

会う人会う人と、言葉を交わす背中を見たときが、一番連れてきてよかったと思えた。

 

 

 

 

地域のこういう部分をさせてくださっているのは、地域の市民センターをはじめとした方々だ。

それこそ、なかなか普段の生活だけだと見えてこない仕事の部分だと思う。

それでも、このエリアの人たちは発信もちゃんとしているからすごいと思う。

孫みたいな新参者は、まだまだ見ることしかできそうにないのが申し訳ない。

 

 

 

地域の人も、センターの方々も、今日は本当にありがとうございました。

 

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保育園さんたちが作ってくれたメダル