おばばと暮らせば

瀬戸内海海域の中山間部に住む、90歳のおばばと孫の暮らし。おばばの言葉や思い出が面白すぎたので記録取っていくことにしました。

日常34 祖母と孫

 

 

実は、6月末に大げんかした。それも複数……

ちょうど3ヶ月が終わろうとしているころ。

ラブラブなカップルだって、一度はなるやつ。

いわゆる、倦怠期ってやつだわ、と孫はふてくされた車の中で思った。

 

 

 

ことの発端は、正直よくわからない。

ただ、祖母の口から「世代が違うからわからない」という言葉が頻発していた。

 

 

それが面白いと思う孫。

それに実は苦しんでいた祖母。

 

 

それを、はっきり孫に言わないあたりが、甘いというかなんというか…

 

 

 

 

車をレンタルして、引っ越しで発生したお役御免になったものたちを運び出す時も、

街へ友人といっしょに遊びに行くときも

夜、友人と電話をしているときも

 

心配で心配で本当に眠れなくなっていたらしい。

 

 

 

だから、お金かかってもいいからレンタルなんてしないで業者に頼めばいい、なんてことをもたいまさこさんの顔でいう。

孫が少しでも夜遅くなってしまおうものなら、孫が帰ってきた後、それこそ孫が寝た後だってなぜか起きてる…

長電話に関しては、悪い人に騙されているんじゃないか、なんて妄想で苦しんでいる。

 

 

 

いや、わかる。

心配してくれているのは。

だがしかし、ここまで心配される年齢でもないのである。

申し訳ないが、孫はもう可愛い可愛い少女ではない。

年齢的には、世間一般でいうところのおばさんである。

 

 

可愛い孫の正体が、おばさんというのもなんだか申し訳ないが、残念ながら事実なので。

 

 

 

 

この見当はずれな「心配」に対して、孫はどうしたかというと。

何も己を変えなかった。

 

 

 

 

それを祖母は「世代差」と受け取ったらしい。

88歳に対して、孫はきっと宇宙人だろう。

天皇陛下が神様だった時代を知っている人で、

天皇陛下も人間だったと思い知った人なのだ。

珈琲をお客様へお出しするのが夢だわと語った人で、

それが今では毎日飲んでいるのだ。

姑に何を言われても、黙っていたような人だ。

仕事には、大病でも行って、通勤中に手術するような人だ。

 

 

 

 

カルチャーショックというか、価値観がどんどん変化する世界の真ん中で生きてきて、

孫のカルチャーなんてそんなのに比べたら全然小さいだろうと思っていた。

 

 

 

でも、一番祖母にとってついていけないのは、

孫が、おばさんになっていたことなのかもしれない。

いやー、マジですまん。

と、これは結構本気で思う。

 

しかも独身で、正社員でもなく、

ただひたすらに、己のやりたいことをやり、行きたい場所に行き、帰りたい場所に帰ってきただけ。

孫は今でも、祖母の昔語りが好き。

そして、古いものが面白くて仕方がない。

 

 

その孫の考え方が、わからないと祖母はいう。

 

88年も生きていると、変えられないものがあると。

でも、孫はそれを変えて欲しくてここにいるわけではない。

そこが、なかなか伝わらなくて歯がゆい。

 

88年も生きている、世代が違うんだという。

それが孫にとっては一番面白いと思ってしまう。

でも、それが理解できないという。別に理解しなくていいのに。

 

 

 

 

 

孫も理解できなくて困っていることはある。

 

例えば祖母は、仕事の日、それはもう早く出ろという。

今出ていけば30分は無駄時間だぞ?というくらい早く。

それでも、遅いという。

孫は諦めて、「早く出勤しちゃうと怒られちゃうの」と嘘を言う。

そしたらそれを覚えていて、祖母の病院に合わせて早く出ようとすると、

「お前が怒られるから時間ギリギリに出る」と言って聞かない…

 

 

それも全部、孫が心配だから。

祖母の死因、「孫が心配」とかだったらどうしよう。

面白すぎて永遠に語り継いでしまいそうだ。

 

 

そんなこんなで、口論が繰り返され続けた。

そして、祖母から出てきたのは、ご飯別居宣言と入院だった。

 

 

 

 

 

つづく!!!

 

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祖母の持ち物は花柄が多い。お花が好きだから。