日常17 切り干し大根
冬はうまいからする。
夏は辛いからしない。
と言われてながらも、女2人暮らしでそんな大量消費はできない。
ましてや、ここは里山。
どこの家でも作っている。
と言うわけで、ずっとやってみたかった「切り干し大根作り」に挑戦。
友人ももれなく巻き込んで作業開始。
昔はもちろん藁でしていた吊るし干し。
今は機械で稲を全部刈り取って、さらにまとめちゃう。
労力を限りなく少なくする技術の進歩って素晴らしい。
だから藁がない。
そのかわりに、使っているのがビニール紐。
祖母の押し車の中には必ずビニール紐と麻紐が入っている。
藁が欲しいと言う私に祖母は一括。
「ビニール紐は便利、何度も使えるから捨てるな」
祖母のその勿体無い精神は亡き祖父からの教えなのだそう。
薄く輪切りにした大根にひたすらビニール紐を通す。
なんというか、結構シュールだなぁと思ったり。
でも、友人はひたすら笑顔で作業しているから、まあいっか。
薄く千切りにしたものは広げて干す。
祖母が昔から使っている大きな薄い竹ザルに広げる。
直径1mくらいの大きなざる、ずっと子どもの時からこれはなんの飾りかしらと思っていた。
後から祖母メモ。
秋に、1cmくらいに切って干すそう。
カラッカラにするんじゃなくて、少し柔らかい状態で揉んでから回収。
そうすると美味しいんじゃ、とのこと。
たまたま通った集金さんが、懐かしいねと言われていた。
祖母は恥ずかしそうに、時季じゃあないんじゃがねと言い訳していた。
数日後、できた切り干し大根は友人へ送ろう。
少しだけ、故郷の香りがしてくれたらいい。
炊いたとき、また帰ろうと思ってくれたらいい。
続きは秋にこしらえよう。
できたらもう少し分厚く、もう少し早めに回収してみよう。
そうして、いつかこれが、私にとっては「祖母の味」になるんだろう。