日常65 祖母とお花
祖母、実はお花の先生やっていた。
「華道の先生です」と難しい言葉で書かれた、木の門標が玄関入ってすぐのところに飾られている。
お花のセンス、皆無な孫。
だから祖母のそれは、遺伝でもなんでもなく当人の努力なんだろうなと、孫は思う。
面倒くさがりだけど綺麗好きな祖母は、一人で暮らしていた時から玄関にお花を飾っていた。
今も毎日じゃないけど、庭に花が咲いたら必ず玄関に飾る。
それは、孫にとっては密かな楽しみになっている。
だって、孫は絶対できないし。
できてもせいぜい一輪挿しだ。
おお振りの花と、たくさんの小さな花が仲良く一つの花瓶に入っているのは、孫にとっては奇跡を見ているような気持ちになる。
だからうちには花瓶が大量にある。
悲しいのは、祖母以外それを使いこなせないということ。
何か別の使い道ないかなあと、習う気ゼロな孫は思う。
(女子校だったので、お花の授業も経験しているのだけれど、先生からセンスゼロ、才能ゼロのお墨付きなうえに、致命的なのは、孫は花瓶に生けるのが好きじゃないので、お花は諦めている)