日常83 祖母と秋の桜
庭いじりの好きな祖母が、祖父の反対を押し切って植えた桜の木。
一番最初に生まれた孫との記念の桜だそう。
毎日飽きることなく散り続けていた葉っぱたち。
とうとうほとんど散りきった。
真っ青な空にちょっとさみしい木の枝たち。
個人的に、茶色と水色の組み合わせが好きなので、
孫は結構この風景も、それなりに好きなんだ。
ただ、やっぱり祖母は「花」が好きなので。
ちょっとだけ寂しそう。
「来年は、花見をしようね」
最近、桜を見るたびに合言葉のように言う。
きっと祖母は、両手で数えきれる回数を思っているんだろうなと思う。
歳をとって死ぬってそういうことなんだろう。
あるかないかわからない未来は、孫だって同じ。
だから約束をするんだろうな。
桜の花の前に、雪に染まった桜が待っている。
それもそれで、結構楽しみだったりする。
そうやって、わからない未来を、ちょっとずつ楽しみに変えられたらいい。
そうやって、冬も春も迎えていけたらいいなと思う。