日常12 祖母のオノマトペ
「ボチボチち(って)言いよるが、これなんね?」
夕飯を食べながら、突然祖母がこんな一言。
耳が遠くなっていて、外で変な動物の鳴き声にも反応しなくなっているのに、祖母にだけ聞こえる「ボチボチ」。
「え、なんねそれ」
「私が聞きよるんじゃないね、ほら、これ」
どんなに耳をすましても、私はその音が聞こえない。
えーやめてー幽霊?おばけ??
そんな変な擬音語で一体何を訴えておられるのか。
ひたすらぎゃーこら私が騒ぐと、祖母は器を指して言った。
「そーじゃのぅて、これをね、食べたら音がしょーるんよ」
器の中身はコーンポタージュスープ。
しかも今日はコーンの粒入り。
まさかとは思ったのですが、祖母のボチボチという擬音語は、コーンの粒を食べる時の音だったようで。
祖母と私の好きなものは大抵真逆なのですが、酢の物とポタージュスープはふたりとも大好物なので3日に一度は(もしくはそれ以上)夕飯になるメニュー。
ボチボチ言わせながら、祖母は今日も美味しそうにコーンポタージュを飲んでいました。