日常10 祖母の農業メモ
祖母の息子夫婦、つまり私の両親なんだけど。
あの人たちはそろって「なりもの」が好きだ。
花より団子な父のために、なっている物を収穫するのが好きな母に、祖母は「なりもの」を毎年植えて育てている。
「なりもの」とは、果物のこと。
ジュンベリー、ブルーベリー、イチジク、柿、さくらんぼ、そしてぶどう。
若い頃は雑誌を見て勉強して、
今は私が図書館から本を借りて。
祖母を始め、このエリアの人たちは独学で農業をされている方々が多いらしい。
子育てがそれぞれ違うように、野菜たちだってその土地その時期、その歳、その苗によってぜんぜん育ちが違う…らしい(如何せん私は農業初心者、百姓ゼロ歳)
祖母は日記はつけていない。
けれど、農業メモのようなものはつけている。
「去年は、5月3日には苗きとったで」
「去年のこの時期にはもう大根大量にできとったんじゃのぉ。ほれ、3月には植えとるわ」
「うちに植えとる花はのぅ、あやめに菖蒲、カキツバタ、ジャーマンアイリス、満州あやめ…(ありすぎて私がメモしきれず)」
私が何かを質問するたびに、祖母はノートを開く。
「物覚えは悪ぅなったがの、日記にちゃんと書いとるんじゃけえ、間違えん」
暖かくなる前は、稲が来る前までは、だいぶ弱っちゃったなあと思っていたけれど。
全然うちのおばばは元気です。