日常7 ほーほちぇちょ。
里山生活を2ヶ月して思うのは、都会よりも音が多いということ。
夜、寝る前に大合唱しているカエルたち。
どう考えてもコウロギとしか考えられない音。(春にもいるのか?)
電子音みたいなビービーという声。
繁殖期の猫特有の「おあああああ」という可愛くない鳴き声。
そして、何かが窓に当たる音。
カーテンを開ければ何かわかるけれど、好奇心より知らぬが仏。
自分の安眠を最優先。
でも、一度だけ、どう考えてもなんかいるでしょという音がした。
それも天井から。
……トト、トトトト、トトトトトトトトトト。
「おばあちゃああああああん!?この家なんかいるよ!?!?!?!??????」
思わず叫んで88歳をトイレ前まで呼ぶ孫。
まだボットントイレだった頃は、よく大叔母にトイレ前で待ってもらっていたけれど。
まさか30歳目前になって祖母にしてもらうハメになるとは想像もしていなかった…
里山の夜はただの山の中になる。
昼はそこまで怖くはない。
祖母と一緒に畑にいると、本当に色々な里山の音が聞こえてくる。
春は頭の周辺をエンドウ蜂が飛び回っている。クマバチのような、ずんぐりむっくりしている姿。刺してはこないけれど、音が歯医者の治療音みたいでちょっと落ち着かない。
畑に苗を植えるのに必死になっていると、帽子をかぶっているせいか、自分の呼吸音がすごく大きく聞こえる。
家の裏の川の音もあたりに響いている。
家と川の間に茂っている笹の葉が風でこすれる音。
祖母が鍬を土に立てる音。
そしてその間に一段と大きい音で響く鳴き声、
「ほー、ほちぇちょっ」
思わず頭をあげるとすぐに必死な声が響く。
「ほー、ほー、ほちぇっちょ」
人間の赤ちゃんが言葉を覚えるように、動物だって始めから綺麗に発音できるわけではないらしい。
さらにうちの周囲に住んでるうぐいすさんは、これまたどうしようもないくらい下手くそで。
その鳴き声があまりにも下手くそで、可愛くて。
聞こえるたびに心の中で密かに応援している孫です。
ちなみに、同じ子なのかわからないけれど、5月も後半になった今日この頃。
「ほーほけきょ」と鳴くことが良いわけではないのかもしれない、これはこれでうぐいす界では正しい鳴き声なのかも…と思い始めたけれど、なんと!とうとう!!
「ほーほけきょ!」
とかっこよく鳴き声が響いた。
まあ、またすぐにいつもの「ほーほちぇちょ」に戻っちゃったけど。
少しずつ、成長しているうぐいすちゃん(くん?)を密かに応援するのが相変わらずマイブームな里山生活です。
※ この文章を書いたのは結構前で、祖母にブログの中身までは詳しく話してないのですが、一昨日祖母から全く同じ内容の話をされました。ここにいる人みんな、彼らの声を聴きながら畑仕事をして、彼らの成長を見守りながら田植えをして暮らしています。