おばばと暮らせば

瀬戸内海海域の中山間部に住む、90歳のおばばと孫の暮らし。おばばの言葉や思い出が面白すぎたので記録取っていくことにしました。

日常70 孫の独り言 ー今更だけど「大家さんと僕」を読んでみたー

 

 

 

今の職場のお姉さんに、孫の生活を話したところ進めてもらった本がある。

職場に入ってすぐだったから、もう半年以上たつ。

図書館で調べたらあったので予約して、忘れた頃に順番が回ってきた。

 

矢部太郎さんの「大家さんと僕」

 

孫はあんまりテレビを見ないので、ぶっちゃけると作者の矢部太郎さんのこと、あんまり存じ上げませんでした。(すみません…)

 

 

びっくりするほど、共感。

矢部さんの優しそうな人柄でさえも、高齢者の言葉に「めんどくさい」という感情があった最初の頃の表現に

 

そうか、こんな優しげな人でも、他人でもそう思うんだよな

 

と、改めて思っちゃって。

 

 

 

 

それでも、大事にしたいという気持ちがあるのもすごくわかる気がして。

めんどくさいんだけど、大事にしたい。

大事にしたいけど、何をどうしたら大事に思っていることが伝わるのかわからなくて。

なんというか、恋愛的な愛じゃない、でも愛としか表現できない感じがとても共感した。

 

 

愛にはいろんな種類があるし、

その多様性はとても心地がいいと思う。

 

 

今、向き合っている人とどういうタイプの「愛」を共有したいのかが大事なんだと孫は思っている。

 

 

 

 

どうしたら、大事にしているって伝わるんだろうなっていうのは、孫の中で結構課題で。

なぜなら、祖母はいつも簡単に我慢するから。

嫌いでも、買ってきたものは受け入れようとしてくれる。

後になって、2.3回買ってきて、初めてそれが嫌いだと、本人から言われたらまだマシだけど、

ほとんどほかの人から遠回しに聞いてしまう。

 

 

孫は、これが結構きつい。

でも、祖母にとってはすごい優しさ。

もういっそ、「こうすべきもの」だという定型文と言うかルールみたいなレベル。

 

それは、本当に優しいと思う。

孫が本当に考えなしなんだとも思う。

 

でも、はっきり言ってくれるだけでいいのに、なんて孫は思う。

それで孫はこれっぽっちも傷つかないし、いやだなんて思わない。

それが全く伝わらない。

多分祖母の生き方なんだろう。

80年分の筋金入だ。

 

 

これはもう、この生き方を尊重して、孫自身がゆるーく対応していくしかない思った。

 

 

 

一つ、最近始めたことがある。

毎日何か一つお菓子を買って帰ること。

 

 

祖母が何を好きか嫌いか、いまだにわからない。

だから、祖母がそれを言いやすい環境をこっちが作ってしまえ!

という気持ちから。

「(習俗調査をするときに)高齢者が多いから、おばあちゃんが好きか嫌いか食べられるものか食べられないものかを基準に、手土産を考えたいの」

とかなんとか言って丸めこむ。

糖尿になっちゃうから、毎回甘いものじゃないように気をつける。

 

結局、誰も何も、「変える」必要はないんだと思う。

変わるんじゃなくて、寄り添い方。

孫だって、あの人の「孫」なので、それなりに頑固だと自覚しているし、

自分の価値観や哲学が、結構気に入っている。

祖母にも、ここで生きてきた処世術だったり価値観、哲学がしっかりある。

 

そのどちらかを、「正す」とか「間違っている」とか、そう判断するのは違うと思った。

どっちも尊重できる暮らし方を、それこそ手探りで見つけるしかない。

だって、高齢者の認知症だって人それぞれだ。

いろんな人のやり方が全部当てはまるわけじゃない。

孫だって、あんまり適齢期とか気にしてない生き方をしてしまっている。

 

大きな枠組みの「タイプ」としてみるよりは、「個人」として見ていった方が、

孫にとってはずっと楽な考え方だった。

 

 

 

 

そうして知った衝撃の事実、祖母は寒天ゼリーがあんまり好きじゃない。

オブラートに包まれてる飴のようなあれ。

孫、散々お土産で買ってきていた…

祖母の好き嫌い、何重のオブラートに包まれてんだよ!?と心の中で喚く孫。

 

 

矢部さんの漫画、どうやら2、3と続編があるみたい。

続きはネットで確認すると、今の孫が読むと号泣間違いなしっぽいなあと思うので、

読むのはもう少し先にしようかなと思ったり……

(孫の涙腺は自他共に認める崩壊具合です)

 

 

矢部さんのこの本は出会えてよかった一冊でした。

 

 

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