日常60 祖母とめんこい仔馬
趣味が伝承なので、「わらべうた」にも自然と興味が湧いていくる孫。
祖母も、世代が世代ではあるので、演歌のほかに口ずさんでいるのは、
もっぱらそういう類のものだと、孫は勝手に思い込んでいた。
祖母が一番好きな唄、実は軍歌だったことに最近気付いた。
「めんこい仔馬」
という、唄を知っている方はいらっしゃるだろうか。
Wikipediaによると、黒澤明さんが助監督をされた映画「馬」の主題歌(孫感想:まじか)で、
『ちびまる子ちゃん』の劇場映画「わたしの好きな歌」(1992年)でも使用されているものらしい。(孫感想:ええ、まじかい)
ちなみに、映画「馬」は昭和16年(1941)に公開されたよう。
これを口ずさむ祖母を見て、思わず図書館で探す孫。
見つかったCDが軍歌歌集だったので、まじか!これ童謡思っていたわ!と1人驚いた。
早速車で移動するときに、祖母と一緒に聞いていたのだけれど…
「これ、わしのしっちょる歌詞と違う」
なんていう祖母。
全く知らない孫はコメントの使用がなく。
「えええ、曲が違う?」
「曲はこれじゃ、でも言葉が違うんよ」
「なんでかねえ」
後日、Wikipediaのおかげで理由が判明。
なんと、戦前と戦後で歌詞が違うとのこと。
祖母が覚えていた部分に関しては、軍歌色が強いので書き換えられたようだった。
祖母が覚えていて、一番好きだったのは「赤いべべきた仔馬」という部分。
「赤いから、多分この馬は女だ」というなんの理屈も根拠もない祖母解釈。
ちなみに、祖母はピンク色が好き。
子どもの頃、同い年の親戚から教えてもらった唄だそう。
よもぎを摘みながら、隣で唄っていたので、そのとき教えてもらったらしい。
よくヨモギ餅をついてくれるから、もしかしたらそのときのよもぎもお餅になったのかもしれない。
幼い祖母が唄う「めんこい仔馬」は、戦前の歌詞。
今はもうCDとして聞くことはできない唄。
その歌詞に込められたものがなんであろうと、祖母にとっては親戚と一緒によもぎを摘んだ思い出の唄なんだ。
車の中で、子どもみたいに合わせて唄う祖母を横に、孫は赤いべべきてよもぎを持った祖母を想像した。
(参考:https://ja.wikipedia.org/wiki/めんこい仔馬)