日常85 祖母とトウガラシ
庭にあったトウガラシを、根っこから引っこ抜いた祖母。
それを、紐で縛ってズルズル引きずっていた。
「どうしたの?」
孫がきくと、ちょうどいい!と目で訴える。
「たわんのじゃ、お前がせぇ」
「たわん」とは、広島弁で「届かない」という意味。
納屋の壁に、トウガラシを吊るしたいそうだったのだが。
如何せん、孫もチビなので「たわない」…
「ばーちゃん、ちょっと私にも無理じゃ」
孫、身長が150センチもない。
祖母も腰が曲がっているため、2人とも高いところが苦手である。
なので、自然と物はどんどん下へ移動している。
トウガラシはというと、物干し竿に落ち着いた。
こんな低い場所で、ちゃんと干せるのだろうかと思いつつも、手が届かないのだからしょうがない。
ちなみに、ちょっと豆知識。
トウガラシは、高齢者の手足の痺れに効くらしい。
身長も伸ばしてくれたらいいのになあとアホなことを思う孫だった。